レイドバック(バックフレージング)とは
辞書は、ある単語を調べるために使うものです。この場合、英単語は「laid-back」ですから、英和辞典を引いてみましょう。すると辞書には「くつろいだ、のんびりした」の意味が記されており、どこにも “後ろ”という単語がありません。
backというと「後ろに」という意味が想像されますが、レイドバックはそもそもそういう意味を含んでいないようです。
backは当然「後ろ」の意味も持っています。しかし、レイドバックはそうではないのです。
そこで、まずはlaidの意味を知ることから始めるとよいでしょう。
laidという単語は、「lay=横になる」の過去形。つまり、laid-backは直訳すると「寝たきり」の意味です。
たとえば、ソファに座って横になったときの感覚を想像してみてください。緊張感がなく、リラックスしている感じがするはず。
それがレイドバックなのです。
つまり、リラックスしてのんびりした気分でなければ、それはレイドバックではないのです。
レイドバックの使い方
音楽で「レイドバック(laid-back)」という言葉が使われるのは、テンポが緩やかで、リズムがのんびりとした曲や演奏に対して用いられます。
例えば、ジャズやブルースの曲の多くがレイドバックな雰囲気を持っているとされています。この場合、演奏者たちは自由にテンポをとったり、リズムをアレンジしたりしながら演奏することが多く、そのために音楽がのんびりとした雰囲気を持つことになります。
また、ロックやポップスの曲でも、レイドバックな曲があります。例えば、Bob Marley(ボブ・マーリー)の「Stir It Up」や、Eric Clapton(エリック・クラプトン)の「Wonderful Tonight」などは、ゆったりとしたテンポで演奏され、リズムがのんびりとしているため、レイドバックな雰囲気を持っています。
レイドバックが音楽的に重要な理由
ジャズやファンクでは、レイドバックが重要視されることがあります。なぜレイドバックが重要なのでしょうか。
それは、ジャズやファンクでは、リラックスすることが非常に重要だからです。
先ほども説明したように、レイドバックは「後ろ」という意味ではありません。つまり、ジャズやファンクではバックグルーヴが重要ということではありません。
バックグルーヴが重要なのではなく、リラックス感が重要なのです。そして、そのリラックス感が、あたかもバックグルーヴであるかのように聞こえるのです。
この点は、レイドバックを理解する上でとても重要です。
音楽をレイドバックさせる方法
では、どうやって音楽をレイドバックさせるか、どうやってレイドバックした演奏をするか。
当然、その方法は「リラックスすること」なのですが、どうリラックスするかは結構難しいですよね?
つまり、いかにリラックスするかが、レイドバック・ミュージックの鍵なのです。リラックスする方法はいくつかありますが、ここでは代表的なものを3つ紹介します。
よく練習する
なんといっても、これが一番の近道です。
練習もせずに、初めてとても難しい曲を弾くように言われたと想像してください。リラックスすることは不可能でしょう。
まずは、プライベートである程度余裕を持って演奏できるくらいの練習が必要です。
ゆったりとした気持ちで息を吐く
声楽家でなくても歌いながら弾くと良いという話を聞きますが、本来は息を吐きながら弾くと良いと言えます。
緊張していると、どうしても呼吸が止まってしまいます。
そして、息を吐くと体の力が抜けるので、自然とリラックスできるのです。
大切なのは、リラックスした状態で息を吐くことです。
どうしてもリラックスできない人は、試してみる価値があるかもしれません。
リラックスした状態で体を揺らす
緊張していると、どうしても体が硬くなり、動きづらくなってしまいます。
そこで、意識的に体を前後左右にゆったりと揺らしてみてはいかがでしょうか。そうすることで、無意識のうちに凝り固まっていた体がほぐれ、次第にリラックスできるようになります。
さらに、曲の拍子や小節の長さに揺れのペースを合わせることで、リズム感も良くなります。
ここで重要なのは、「リラックスして動く」こと。この部分はリラックスと大きく関係しており、結果として「バックグルーヴのように聞こえる」ことになります。
また、演奏者がリラックスした状態でフォワードグルーヴになると、「レイドバックしているのにフォワードグルーヴになる」という現象が起こることがあります。