【歌手・曲例あり】ウィスパーボイスとは|意味・出し方・練習方法

ウィスパーボイスとは

ウィスパーボイスの意味

ウィスパーボイスとは、ささやき声のことで、通常の歌声よりも息が多く、しっとりとした歌声です。切なさ、儚さ、セクシーさを表現できる声です。

ウィスパーボイスとはいえ、音が安定して響くウィスパーボイスで歌うには、声帯を振動させることが必要です。

まず、ウィスパーボイスとは何か、詳しく見ていきましょう。

ウィスパリング・テクニック

ウィスパーボイスで歌うことを専門用語ではウィスパリング・テクニックと呼びます。

日常的な息漏れとは異なり、声門閉鎖を弱めることで喉の周辺に多くの息を流しながら歌うのがウィスパリング・テクニックという技術です。

ウィスパリング・テクニックでは、ウィスパーボイスというよりブレスレスボイスに近いハミングサウンドを出すことが可能です。

息漏れの声との違い

ウィスパーボイスは、単なる息漏れとは大きく異なります。

単なる息漏れの場合、声帯が振動していないため、音が安定しないだけでなく、聴く人の心にネガティブなイメージを与えてしまうこともあります。

一方、ウィスパーボイスは、息漏れのようなささやき声であっても、音が安定しているのが特徴です。

音が安定していることで、聞き手に与える印象に違いが生まれ、言葉の意味がより明確に伝わります。

ウィスパーボイスの特徴

ウィスパーボイスは、聞いている人をドキッとさせることができます。

耳元でささやかれると、ドキッとした経験はありませんか?

ウィスパーボイスは、声の響きだけで聞く人に強い印象を与えることができます。

また、ウィスパーボイスは感情を表現しやすいので、儚さや悲しさを伝えたいときや、色気を出したいときにも効果的に使うことができます。

ウィスパーボイスの出し方

ただ囁くだけではウィスパーボイスは出ないと言われても、実際にどのように出せばいいのかわからないかもしれません。

ウィスパーボイスを出すには、声帯を振動させて共鳴する声を作る必要があり、そのためにはしっかりと発声して歌う必要があります。

ここでは、ウィスパーボイスの出し方を紹介します。

リラックスする

まず、体の力を抜いてリラックスしましょう。

喉の周りや上半身に力が入ってしまうと、喉が閉じてしまい、響く声を出すことができません。

また、上半身をリラックスさせることで、お腹から声が出やすくなり、喉を使って歌うことができなくなります。

体をほぐすには、以下のようにしてください。

  • 首回りのストレッチをする
  • 唇を振動させるトレーニング「リップロール」をするなど、喉周りや表情筋、上半身をリラックスさせるためのエクササイズを行う

声門を広げる

ウィスパーボイスを出すときは、意識して声門を広げるようにしましょう。

声門は、声帯の左右にある隙間で、息が通るところです。

あくびをしたときに喉が開く感覚に似ています。

声門の開きを調整できれば、息の漏れをコントロールできるため、声が安定し、表現の幅が広がります。

胸で声を共鳴させながら息を吐く

話すときは、胸で声を共鳴させながら息を吐くことを意識します。

話すときに胸のあたりに振動を感じたら、胸で声を共鳴させていることになります。

このとき、息を前に押し出すようにイメージすると、勢いのあるウィスパーボイスが出ます。

ただし、通常の歌唱よりも息を多く使うので、肺活量を鍛えることも必要です。

ウィスパーボイスを使う歌手

ウィスパーボイスを上達させるには、ウィスパーボイスをマスターしているアーティストの真似をするのがおすすめです。

ウィスパーボイスは国内、海外問わず、多くのアーティストが使用しています。

女性歌手

手嶌葵

手嶌葵さんは、息づかいがそのまま伝わってくるような澄んだ声で、ウィスパーボイスを極めたシンガーの一人です。

彼女は地声をほとんど使わず、低音から高音まで自然な形でウィスパーとファルセットを使い分けます。

ウィスパーボイスは不安定になりがちですが、手嶌葵さんの声は安定していながら、息の流れがきれいです。

そのため、フレーズの最後に息だけが残るような雰囲気を出すことができるのです。

Chara

キュートで時にセクシーと、様々な表情で多くのファンを魅了するCharaさんも、ウィスパーボイスを使う代表的なアーティストの一人。

エッジの効いた高音でありながら、息遣いを包み込むような声が特徴的です。

彼女のウィスパーボイスは息の漏れが多いので、同じように歌うには肺活量が必要です。

息の量が多いと声の輪郭がぼやけやすいので、Charaさんのように歌いたい人はアクセントを鍛えた方がいいかもしれません。

男性歌手

徳永英明

優しい歌声で、男性ウィスパーボイスシンガーの代表格である徳永英明さん。

代表曲の「レイニーブルー」「壊れかけのRadio」などは、ウィスパーボイスで優しく儚い感情を表現するように歌われています。

徳永英明さんの声は、どちらかというと声量があり、息をうまく使って声を包み込むように歌っています。

そのため、歌声に豊かな響きがあり、繊細な感情がよく伝わってくるのです

玉置浩二

玉置浩二さんもウィスパーボイスをうまく使って、表現の幅を広げているシンガーです。

すべての曲をウィスパーボイスで歌っているわけではありませんが、ウィスパーボイスをスパイスとして使い、曲に緩急をつけることで聴き手の心をつかんでいます。

代表曲のひとつである『メロディ』では、”あんなにも好きだった”と歌い、優しく語りかけるようなウィスパーボイスは、多くの人をドキッとさせることでしょう。

ウィスパーボイスの練習方法

ウィスパーボイスは、以下の方法で実現できます。

  • 声門の開きを調整する
  • 息と声の比率をコントロールする

息と声の比率や息のスピードによって声の出方が変わるので、いろいろなパターンを試して、自分の求めているウィスパーボイスを見つけてください。

次の章では、ウィスパーボイスの練習方法を紹介します。

プロの歌手の歌を聴く

ウィスパーボイスを習得するには、本物のウィスパーボイスをよく聴いて真似することがおすすめです。

歌の上達は完コピからと言われているので、まずはプロの歌声を聴いてみましょう。

自分の理想に近い声のアーティストを探し、それに合わせて歌う自分を録音し、声をチェックしましょう。

最初から自己流でやろうとせず、本物をよく聴いて真似することから始めましょう。

息は吐くだけ

ウィスパーボイスで歌うには、息を吐くことだけを練習することが大切です。

ウィスパーボイスは息の流れにそって発声するため、息のイメージをつかんでから発声することが必要です。

“長く穏やかな息で息を吐く “練習をしましょう。

息を吐くときは、「ハイ」と吐くときのように、口を水平に開いて、横に広く薄く息を吐くように意識してみましょう。

ブレスと声の比率を変える

息の量が多いウィスパーボイスの場合、息と声の比率を変えることが重要です。

息と声の比率を変えることで、声の響きが違ってきます。

息を吐くだけのイメージができたら、そこに声を乗せましょう。

息と声の比率を試しながら、自分の理想の声を探してみてください。

声に出して読む

安定したウィスパーボイスを身につけるには、音読の練習がおすすめです。

息を多く使うウィスパーボイスは、安定させるのが難しい発声法なので、音読練習をして安定したスピードで息を吐けるようになりましょう。

まず、ピッチを上げずにウィスパーボイスで音読します。

息の量とスピードを一定に保ち、声の大きさにムラがなければ、安定したウィスパーボイスになります。

ウィスパーボイスのコツ

ウィスパーボイスは、息をたくさん使うため、なかなか音量が上がらないという方も多いのではないでしょうか。

また、声の輪郭がはっきりせず、何を歌っているのかが分かりにくい場合もあります。

ある程度の音量でしっかり伝わるウィスパーボイスで歌いたい方は、声の意識・イメージの仕方を変える必要があります。

ここでは、ウィスパーボイスのコツをご紹介します。

腹式呼吸と滑舌を意識する

ウィスパーボイスを出すときは、腹式呼吸と滑舌を意識してください。

通常の歌唱よりも多くの呼吸を必要とするため、腹部から深く声を出すことが必要です。

腹式呼吸でお腹で声を支えることで、声量が安定し、濃密なウィスパーを出すことができます。

また、呼吸をしすぎると声の輪郭がぼやけてしまい、言葉が聞き取りにくくなります。

それを防ぐために、滑舌やアクセントを意識し、声にメリハリをつけて歌いましょう。

声が遠くへ飛んでいくのをイメージする

ウィスパーボイスで歌うときは、声が遠くへ飛んでいくイメージを持つことが大切です。

声が遠くへ飛んでいくイメージを持つことで、声量が大きくなり、声の中心が定まるので、相手に自分の言っていることが伝わりやすくなります。

イメージのないウィスパーボイスは、口元をマイクに近づけて歌うため、息の音しか聞こえず、音量が小さいです。

遠くへ飛んでいくようなイメージで歌えば、音量が大きくなり、息のスピードも速くなるので、安定した声で歌えるようになります。

ウィスパーボイスの喉への負担

ウィスパーボイスは、通常の声と比べて喉にかかる負担が少なくなるとされていますが、長時間行うと喉の疲労感や不快感を引き起こす場合があります。また、ウィスパーボイスによって空気の流れが制限され、喉や喉頭に過剰なストレスがかかることがあるため、無理な使用は避けるべきです。過度のウィスパーボイスを繰り返すことは、声帯の病気やダメージの原因になる可能性があるため、注意が必要です。適度な休憩をとり、正しい声の使い方を心がけることが大切です。

まとめ

ウィスパーボイスは、セクシーだったり、儚げだったり、様々な表情を見せる声です。

ウィスパーボイスは、聴く人に強い印象を与えることができます。

ウィスパーボイスをマスターするには、声の出し方と息の量をコントロールすることが必要です。

最初は有名な歌手のウィスパーボイスを真似して、自分だけのウィスパーボイスを手に入れましょう。