換声点(ブリッジ)とは|ガラガラや裏返る原因・なくす方法

換声点(ブリッジ)とは

換声点とは、地声と裏声が切り替わるポイントのことです。

換声点を意識してトレーニングしないと、声が裏声になったり、ぼやけたりして、思うように声が出せないことがあります。

しかし、この換声点を一貫してうまくコントロールできるようになると、さまざまな音をスムーズに出せるようになります。

換声点は歌唱力アップにつながる重要な技術であるため、多くの人が克服しようと努力しています。

それには声区を理解することが必要です。

声区は声帯の振動のさせ方や体の使い方によって分けられる声の種類のことです。

人は歌うとき、「胸に響かせる」「頭に響かせる」「喉を閉じる」など、声区ごとに体の使い方を変えています。

声区は以下の4つに分類されます。

  • ファルセット
  • ヘッドボイス
  • ミックスボイス
  • チェストボイス

この声区が切り替わるポイントを換声点と呼ぶのです。

地声が裏声に切り替わるポイント、声帯が声帯に切り替わるポイントは、性別や声域によって異なります。

自分なりの切り替えポイントを見つけたい方は、次の方法を試してみてください。

まず、地声で低い「ア」の音を出し、それを高くしていきます。

すると、声が裏返るポイントがわかります。

声が裏返ったときの音程が、あなたの換声点です。

換声点がガラガラする、裏返る原因

換声点をスムーズに越えることができず、「ガラガラした音」「裏返ること」に悩む人は少なくありません。

声域は繊細なため、日頃からボイストレーニングを行っていない方は、スムーズに発声することが難しいかもしれません。

効果的なボイストレーニングのためには、まず「なぜうまく発声できないのか」を理解することが大切です。

ここでは、換声点のガラガラや裏返る原因について解説していきます。

声帯閉鎖をコントロールできていない

声帯閉鎖が強すぎるなど、声帯にかかる力のバランスが悪いと、声がガラガラになります。

声帯閉鎖は文字通り、声帯が閉じていることを意味します。

実は、地声を出すときには声帯を閉じる筋肉を動かし、裏声を出すときには声帯を伸ばす筋肉を動かしているのです。

換声点の前の音域では、地声を出すために声帯をしっかり閉じているので、裏声に移行する時点で声帯の閉じを緩めなければならない。

しかし、声帯が変に閉じたままだと、声のバランスが崩れ、ガラガラになってしまいます。

低音パートを歌うときは、地声の力を抜いて、変化点の直前で裏声を強く意識して声帯閉鎖のバランスを取ると、美しい歌声が出せるようになります。

声帯閉鎖が弱いほど裏声に近くなり、声がかすれたり、緊張感がない印象を与えます。

このような場合は、声帯が閉じている変化点付近の「エッジボイス」を意識するとよいでしょう。

地声成分が強すぎると、声帯のバランスが崩れて声が裏返ったようになりますが、エッジボイスを少し意識することで、声帯を閉じる強さを適切に調整することができるのです。

換声点をなくす方法

換声点をなくすメリット

換声点をなくすと、様々なメリットがあります。

ただボイストレーニングをするのではなく、そのメリットを意識して練習することで、さらに声の調子を上げることができます。

聴く人に無理をしている印象を与えることなく、よりのびのびとした演奏ができるようになります。

以下は、換声点をなくすことで得られる3つのメリットです。

ミックスボイスの改善

ミックスボイスの改善には、換声点をなくすことが大きく影響します。

ミックスボイスとは、地声と裏声を混ぜた中間的な声のことです。

芯のある声の強さと繊細な高音の両方を同時に操ることができるので、歌声がとてもよく響きます。

声変わりのポイントをスムーズに越えることができれば、ミックスボイスの習得につながります。

スタミナ

換声点をなくすことができれば、曲の最後まで疲れることなく気持ちよく歌えるようになります。

地声から裏声に切り替わるポイントは、地声より少し高く、裏声ほど高くない音域なので、地声のまま歌いやすくなります。

しかし、これでは喉に負担がかかり、最後まで美しく歌うことはできません。

換声点をなくすことで喉への負担が減れば、歌の途中で苦しくなったり、スタミナが切れたりすることが少なくなります。

声の裏返りが減る

声帯の隙間を埋め、声区融合させれば、声が裏返りにくくなり、高音域でも自然に歌えるようになります。

ボイストレーニングを受けたことがない人は、地声と裏声の切り替えがうまくいかず、不自然な歌声になってしまうことがあります。

しかし、ボイストレーニングを繰り返すことで、地声と裏声の筋肉をバランスよく使えるようになれば、切り替えの際に裏声になることは少なくなります。

換音点をスムースにする練習方法

正しい練習をコツコツと続けていけば、換音点をコントロールすることができます。

換声点のコントロールがしっかり身についた人とそうでない人の差は歴然としています。

低音から高音まで自由に、自分の思うように声を使えるようになると、歌うことがもっと楽しくなります。

最後に、換声点を克服するための4つのエクササイズをご紹介します。

音域のコントロール

サイレンのような音を出す発声法で、調音ポイントを克服しましょう。

まずは地声で「アー」と低い声を出してみて、そのまま高い音域まで上げてみましょう。

高音域まで声を上げる過程で、声が後ろに下がらないように意識し、徐々に声域を切り替えていきます。

最高音域に到達したら、次は低い音域に声を下げていきます。ここでも声を下げるときに裏声から地声に自然に切り替わるように意識します。

このサイレンのような発声練習を何度も繰り返し、声の出し方を喉に覚えさせます。

Messa di voce

Messa di voceは、調音点をなくし、ミックスボイスを改善するためのエクササイズです。

まず、調音点の音を地声で「ア」と発声します。

次に、「あ」の音程を変えずに、サステインボイスからバックボイスに移行します。

そしてバックボイスに戻り、また “ア”の音程を変えないようにします。

音程を変えずに地声から裏声に移るのは簡単ではありませんが、簡単だと思える程度に地道に練習しましょう。

リップロール

リップロールを使った練習をすることで、地声から裏声への切り替えがスムーズにできるようになります。

まず、自分のナチュラルボイスの限界を把握しましょう。

男女それぞれですが、A4が限界なら、F4からF5あたりまでリップロールで上下させましょう。

その後、普通の声で「アー」と発声する練習をします。

このとき、リップロールをしたときの感覚を意識してください。

リップロールを繰り返すことで、息のバランスが良くなり、アーティキュレーションポイントをスムーズに越えることができるようになります。

エッジボイス

エッジボイスをマスターすると、調音点をうまく越えるために重要な「声帯を閉じる感覚」がつかめるようになります。

声帯を自然に閉じることができれば、緊張感のある高音を出すことができるようになります。

まず、「アー」と言いながら、自分が出せる低音の限界まで声帯を下げます。

すると、「ガラガラ」という音が聞こえます。

この「ガラガラ」という音が、「エッジボイス」です。

声帯は固く閉じていますので、この感覚を意識して、「ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア」と1音ずつエッジボイスを切り離していくようにしてください。

この練習を繰り返すことで、徐々に声帯が閉じていく感覚がつかめるようになります。