シラブルとは
歌のシラブルとは、歌の歌詞やメロディの一部を構成する音節のことを指します。英語では “syllable” と呼ばれます。シラブルは、言葉を音声で表現する際の基本的な単位であり、一つの母音音(あるいは同等の音)とそれに続く子音音で構成されます。これは言葉を発音する際の一つの呼吸、あるいは一つのリズムに相当します。
例えば、英語の単語 “hello” は2つのシラブル(he-llo)、”beautiful” は3つのシラブル(beau-ti-ful)に分けられます。日本語の場合、ほとんどの文字(または文字の組み合わせ)が1つのシラブルに相当します。例えば、「こんにちは」は5つのシラブル(こ・ん・に・ち・は)に分けることができます。
歌を作る際には、特定のメロディーに合わせてシラブル数を調整することがよくあります。これにより、リズムや韻律が保たれ、聞き手にとって心地よい音楽を作り出すことができます。
シラブルとメリスマの違い
シラブル(Syllable)とメリスマ(Melisma)は、音楽と歌唱のスタイルにおいて重要な概念ですが、その役割と使い方は大きく異なります。
1. シラブル(Syllable): シラブルは言語の基本的な単位で、通常は音節と翻訳されます。音楽においては、歌詞の各シラブルが個別の音符に対応する歌唱スタイルを指します。これはシラブル歌唱、またはシラブリック歌唱とも呼ばれ、1つの音符に1つの音節が対応する形が基本となります。多くのポップ音楽やフォーク音楽などではこのスタイルが採用されています。
2. メリスマ(Melisma): メリスマは、一つのシラブル(音節)が複数の音符にまたがって歌われるスタイルを指します。このスタイルはしばしばゴスペル音楽やオペラ、R&B、また一部のポップ音楽で見られます。メリスマティックな歌唱は、感情的な表現を深めるため、また歌手のボーカル能力を示すために用いられます。
したがって、これらの違いは、特定のシラブルまたは音節が音符とどのように対応するか、つまりその歌唱スタイルがどのように形成されるかによるものです。
シラブルの区切り方
日本語のシラブルの区切り方は、基本的に以下2つのパターンしかありません。
- 母音
- 子音+母音
「おはよう」は、「o・ha・yo・u」の4つのシラブルがあり、「お」と「う」が唯一の母音です。
「o」と「u」は母音のみ、「ha」と「yo」は子音と母音です。
ただし、英語にはこれ以外も含めて4つのパターンがあります。
- 母音
- 子音+母音
- 子音 + 母音 + 子音
- 母音+子音
特に、単語の後ろに「子音」が付くものは、日本にはないパターンです。
「dog」「gat」「hand」
上記3つはすべて1シラブルの単語です。
日本語には、いくつかの音を使う子音がありません。
「strong」
これも1シラブルの言葉です。
「str」という子音が先行し、「子音」が3つ入っています。これは、1つの子音にまとまるということではありません。
「chi」という音は3文字でできていますが、「ch」は実は1つの子音なのです。
日本語と違って、英語には裏返しの子音があるのはわかったと思います。では、どうすればいいのでしょうか。
コツは、各シラブルを「口を開けてから閉じるときに出る1つのシラブルと考えることです。
つまり、後ろの子音は「口を閉じたときに出る音」と考えるとわかりやすいです。
「dog」「cat」など、好きな言葉を試してみよう。
「do(ド)」は少し伸ばした音、「g」は口を閉じたときに出る打鍵音と考えればよいでしょう。
「cat」も同様で、「ca」の部分で口を開けて、「t」は口を閉じたときに出る音だと思って、そのまま舌で弾けばいいのです。
母音の後に続く舌打ちの音は、日本人の言語感覚ではなかなかつかめないのではないでしょうか。
これは上達するのに長い時間がかかると思います。
子音の裏返しを知っていただいたところで、歌うときの注意点をご紹介します。
よく英語を日本語風に伸ばしますが、子音は伸ばせません。
伸ばせる音は母音が伸びている音です。
ですから、「get」という単語を伸ばしたい場合、「geeet」のように「e(エ)」の部分しか伸ばせません。
また、「ng」は「strong」のように聞こえます。
「ng」これも子音なので、伸ばせません。
「ストロンーーグ」はないのです。つまり、「ん」は伸長しないのです。
日本語で伸ばしたいと思っても、「ストローーング」なのです。
というわけで、伸長するところで迷ったら「母音を探す」ことが重要です。
英語の厄介な要素のひとつは、音がつながっていることです。
例えば、「Get a chance」という歌詞があるとします。
これを日本語にすると「ゲット ア チャンス」となります。
「ッ」で、7つの音になります。
ところが、英語の解釈はまったく違います。
先ほども言ったように、末尾に子音がつく3音です。
「get a」これが「ゲッタ」になる。
末尾の子音の後に母音が来る場合、その2つは一緒に発音されるのです。
もう一つ、末尾の子音に注意することがあります。
たとえば、「get down」。
これは「ゲットダウン」ではなく「ゲッダウン」となります。
t “と “d “がくっついてしまい、音が抜けてしまうのです。
別の例を見てみましょう。
「Good time」も「グッタイム」の後に来る子音が省略されています。
同じ場所で発音される子音は、後ろの音に「吸収」されます。
- pとb
- fとv
- gとk
- sとz
- tとd
以上が、有声子音と無声子音の関係です。
有声子音とは、子音を出すときに「喉を鳴らす」ような音です。
無声子音は、息だけで出す「音にならない音」です。
例えば、「p」と「b」の音です。
いずれも唇で発音する音です。
「p」は息だけで出す無声子音です。
「b」は喉の音を含んだ有声子音です。
“get down” や “good time” では、”t” や “d” も続いています。”t “と “d “は舌で弾きます。
t “と “d “は舌で弾かれる子音であり、同じ場所で作られます。
なので、「ゲッダウン」「グッタイム」のように、後ろに来る子音に吸収されてしまったのです。
「I’m the one」という歌詞があるとき、日本語では「アイム ザ ワン」となる。
しかし、「the」の音が変わり、「アイム ナ ワン」のように「the」が「na」に変わってしまう。
これは、先行する音が「m、n」の場合、「th」の発音がうまくいかないからです。
詳しく説明すると、たくさんのパターンがあり、書き出すと長くなってしまいますが。もし、「なんか違うぞ」と思ったら、英語の音は前の音との関係で変化することを思い出してください。
さて、日本語と英語のシラブルの違いについて理解が深まったところで、ここではシラブルを理解するためにお勧めの練習方法をご紹介します。
ま図、歌いたい曲の歌詞を用意します。そして、それを1音ずつ、1拍ずつ、すべての音を伸ばして歌います。
音程や原曲のリズムを気にせず、歌詞を見ながらメトロノームを使って1拍、1シラブルずつ歌ってください。
この練習で、シラブルの理解度がアップするはずです。
今回は、日本語と英語のシラブルの違いを少しまとめてみました。
まだまだたくさんの違いがありますが、とにかく、慣れることが大切なので、どんどん歌っていきましょう。